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おわりに
本調査研究は、平成7年1月の阪神・淡路大震災によって露呈した「道路に依存する物流体制のもろさ」に対する危機感、国道43号線訴訟等にみられるような「阪神問の幹線道路沿道における環境改善」に対する機運の高まり等の背景のもとに、近畿圏における海上・河川を利用したコンテナ輸送の促進について、その実現可能性等の検討を行ったものである。
第6章でも詳述したように海上を利用したコンテナ輸送については、輸送に係るコスト、所要時間等の点でトラックによる陸上輪送よりも劣ることとなり、また、河川を利用したコンテナ輸送については輸送に係るコスト、所要時間等の問題点に加え、橋梁のクリアランス等の問題により、現状では共にその促進が非常に困難であることが明らかになった。更に、海上・河川を利用したコンテナ輸送の促進に当たって解決しなければならない問題点は容易ならざるものが多いため、その促進を図るためには非常な困難と労苦が伴うものと考えられる。
しかしながら災害時に必要な物資を混乱なく、また速やかに運送するための手段・方策や阪神間の幹線道路沿道における環境改善に対する有効な方策が確立されていない現状を鑑みると、海上・河川を利用したコンテナ輸送の促進の必要性は今後益々高まってくるものと考えられる。
従って、今後とも引き続き海上・河川のコンテナ輸送を促進するための方策についての検討を行う必要はあると考えられる。残念ながら、今回の調査・研究においては時間の制約等もあり、その促進に直ちにつながる有効な方策を提示することはできなかったが、本報告書を基に関係行政機関、事業者、荷主等の関係者が一体となってさらに詳細な検討が進められ、その促進が少しでも図られることを期待したい。

 

 

 

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